仕事で業務チェックリストを作成する際には、自分以外の誰かでも使えるものを作るのは大切なことです。
なぜなら、チェックリストを作っても、実際に仕事をする人に使ってもらえなければ意味がないからです。
ただ、多くの人が書いた業務チェックリストは使用されません。実際、形骸化したチェックシートがフォルダ内に放置されているのはよくあることです。
この原因の一つに、作成者にしか分からない内容になっていることがあります。
例えば、ただ仕事に必要な項目だけが羅列されているチェックリストがあります。作成者からすれば十分と感じる情報量を記載しているつもりなのです。
しかし、チェックリストを使う側からすれば「必要情報が不足していて、追加で調べないといけない」と感じてしまうことがあります。
このように、作成者の視点しかないチェックリストでは不十分なのです。
そこで、他の人にも使われる業務チェックリストを作成するために注意したい3つのコツやポイントについて解説します。
また、使われない業務チェックリストになってしまう理由も含めてお伝えします。
- なぜ役に立たないチェックリストになってしまうのか? 問題点とは
- 使われる業務チェックリストを作成するための3つのコツやポイント
- 業務チェックリストより業務量を減らす
- 引継ぎが必要なら、業務手順書も作成してみる
- 仕事のスピードをあげたいなら、業務効率化のスキルを磨こう
- 使われる業務チェックリストを作る
なぜ役に立たないチェックリストになってしまうのか? 問題点とは
パソコンのフォルダに仕事のチェックリストが保存されていることがあります。しかし、その多くは最終更新日が古く誰にも使用されないままになっています。
なぜ、そのような意味のないチェックリストが作成されてしまうのでしょうか。
その理由は、作成者の視点で業務チェックリストが作成されているからです。
ただ、これらは作成者本人からすれば問題に感じません。なぜなら、作成者はその仕事を理解しているからです。作成したリストがあれば、仕事が十分に回るのです。
しかし、このチェックリストを使って仕事をする側すれば、情報が不足しています。とくに、以下の問題点は多くのチェックリストに共通する問題点です。
問題点2|実際の資料(前例)を見れない
問題点3|保管場所は作成者本人にしかわからない
この3つの問題点について詳しく見ていきます。
問題点1|チェックリストの項目が不十分である
他人に使ってもらえない業務チェックリストの特徴の一つが、網羅性に欠けることです。
例えば、以下のチェックリストは仕事の必要項目は把握できます。しかし、本当にこれだけでチェックリストとして十分でしょうか。
もし、新しく仕事を担当する人がこのチェックリストを見ても、「よくわからない」という感想をもつはずです。
そう感じる理由の一つは他のチームへの依頼仕事です。例えば、資料の中に仕事をしてもらうように依頼を必要とするものがあるとします。
しかし、このことは業務リストに記載されていないと、まず分かりません。
実際、私にも経験があります。自部署で完結する内容だと思っていた内容が、実は他部署の人から許可もらう必要があったのです。このときは、納期ギリギリになってしまい肝を冷やしました。
このように、仕事をしている人には当然のことでも、初めて経験する人にとってはわからないことも多いのです。
こうなってしまう理由は、担当者が当たり前だと思っていることでも、他の人が見たらわからないからです。
つまり、業務チェックリストを見た人が仕事を完遂できるような網羅性が必要なのです。
問題点2|実際の資料(前例)を見れない
業務チェックリストを使用するとき、以前に提出した資料を確認できることは重要です。
なぜなら、チェックリストは作成資料が過不足ないかどうかを調べるものだからです。しかし、チェックリストがあっても、作成する資料がどのようなものかイメージできないと仕事は進みません。
例えば、仕事を進めるとき、10コの資料が必要だとします。ただ、チェックリストを見ても10コの項目だけしかわかりません。
項目しかわからないチェックリストでは、何をどのようにすれば仕事が終わるのかを理解できないのは当然です。
そこで、常にこのチェックリストを使いたくなるようなメリットを付与する必要があります。
例えば、業務チェックリストにリンクなどを貼っておき、これまでに作成した前例を見れるようにしたり、ウェブサイトで雛形を確認できたりするようにしておきます。
そうすれば、チェックリストを使うメリットが生まれます。そうすれば、イヤでも使われるチェックリストになるのです。
問題点3|保管場所は作成者本人にしかわからない
仕事に関するチェックリストが作成されていても、どこに資料が保管されているかわからないことは少なくありません。
その理由は、自分以外の人がどのように書類を保管しているか知らないからです。そのため、そのチェックリストを使いたくても使えないのです。
これは、チームメンバーであっても該当します。実際、私が勤務していた会社では、それぞれの担当者が異なる取引先を担当していたため、それぞれが別のチェックリストを使っていました。
そのため、その担当者が抜けるとゼロから仕事を覚える必要がありました。このとき、新しい担当者はチェックリストをフォルダを一通り探します。
それでも見つけることができず、ccに入っていたメールや旧版かもしれない資料を洗い出して仕事を進めるのです。その結果、時間を無駄にしてしまいます。
このように、仕事のチェックリストが作成されていても、どこに資料が保管されているかわからないと、チェックリストの作成がムダになってしまうのです。
まとめると、チェックリストの問題点は以下の3つです。
問題点2|実際の資料(前例)を見れない
問題点3|保管場所は作成者本人にしかわからない
ここでお伝えした3つの問題点を解消しないと、使われないチェックリストになってしまいます。
使われる業務チェックリストを作成するための3つのコツやポイント
上記では、3つの問題点を紹介しました。実はこの3つを改善することで、イヤでも使われるチェックリストにすることが可能です。
具体的には、以下のように改善します。
コツ2|前例の資料が見れるようにリンクを貼る
コツ3|業務チェックリストの保管ルールを決めておく
以下で詳しく解説します。
コツ1|業務チェックリストの網羅性を確保する
一つ目のコツは、業務チェックリストの網羅性を確保することです。この対策をしておくことで、誰でも分かるリストになります。
たとえば、以下の項目を記載するようにします。
項目 | 説明 |
分類 | 資料の分類、ソートできるようにするのが狙い |
資料 | 必要資料の概要 |
部署 | 資料を準備する部署 |
担当 | 資料を準備する人 |
ステータス | 作成中、確認中、完了etcのように状況を知らせる | 備考 | 他に知らせることがあれば |
上記の内容は、経験があれば不要に感じるものがあります。しかし、それは経験者だから不要に感じるだけです。
なぜなら、担当者は自分の仕事内容を理解できているからです。自分で理解できていることは、書かなくても分かるものです。
しかし、これから業務をやろうとする人からすれば、それが分かりません。
そのため、自分がはじめて業務するとしても分かるようにチェックリストを作成するのがコツです。
ただ、このとき項目数が多すぎるとチェックリストの項目数が増えることで、チェックリストが確認しにくくなります。
そこで、まずは上記の項目を参考にしてみてください。そして、運用して不具合があれば追加、削除をしていくといいでしょう。
コツ2|前例の資料が見れるようにリンクを貼る
業務チェックリストを使用するとき、以前に提出した資料を確認できるようにリンク(以下画像の赤枠)を貼っておきます。
そうすることで、チェックリストから前例を確認できるようにするのです。
例えば、仕事を進めるとき、資料をゼロから作成しようとします。そうすると、ムダに時間がかかってしまいます。
しかし、チェックリストから前例の資料を調べることができれば、日付などの情報を変えるだけで資料が完成することもあります。
実は、チェックリストにリンクを入れておくことには、もう一つのメリットがあります。
それは、チェックリストを最新版として維持されやすくなることです。
というのも、チェックリストが形骸化したり意味のないものになってしまう理由の一つに誰もチェックリストを更新しないことがあります。
情報が古くなったので、使わなくなるのです。当然ですが誰も更新しなければ、チェックリストはフォルダのゴミになっていきます。
そこで、チェックリストにリンクを貼っておくのです。リンクを貼っておくことで、チェックリストの使用頻度を上げるのです。
そうすれば、チェックリストを使う人が増え、更新すべき情報に気づいた人が自ら新しく書き換えてくれるのです。
これは、「あのチェックリストを使えば、前例の資料をみることができる」というメリットがあることが起因しています。
このように、チェックリストを使いたくなるメリットを上手に付与しておくことが大切です。そうすれば、イヤでも使われるチェックリストになるのです。
コツ3|業務チェックリストの保管ルールを決めておく
仕事に関するチェックリストが作成がどこに保存されているか分かるようにルールを決めておきます。
これは、チェックリストの保管方法というよりはフォルダ管理の話です。ただ、資料の保管ルールを決めておくことで、スムーズにチェックリストを見つけ出すことができます。
例えば、以下のようにフォルダ管理をします。
[1] 対象別フォルダを作成する
[2] 対象別フォルダの中にチェックリストを入れておく
このとき、チェックリストは一つだけにしておくことが大切です。チェックリストの旧版などは捨てるようにしておくのです。
ただ、私の場合は旧版のチェックリストを削除すると何かあったときのためにTrashのフォルダに入れています。もし、チェックリストに異変があったとき、Trashフォルダから取り出して使うのです。
このように、最新版のチェックリストを一目で分かるようにしておくことが大切です。
まとめると、使われるチェックリストにするためのコツは以下の3つです。
コツ2|前例の資料が見れるようにリンクを貼る
コツ3|業務チェックリストの保管ルールを決めておく
ぜひ実践してみてください。
業務チェックリストより業務量を減らす
ここまで、業務チェックリストの書き方のコツを記載してきましたが、担当者に仕事を任せる限り、人為ミスは発生します。
たとえば、月末処理で何百、何千といったデータを処理する場合です。このような仕事でミスが起こると、意味のない改善んをしようとする人がいます。
例えば、ダブルチェックや必要項目をチェックしたかどうかを確認するチェックリストの作成です。、しかし、業務チェックリストを作成しても、人為的ミスがゼロになることはありません。
人がやるから以上、ミスはついてまわります。このようなケースは、エクセルマクロのような自動化ツールを活用して、人の作業そのものを減らすことを検討します。
エクセルマクロについては、こちらの記事で解説していますので、あわせて読んでみてください。
●エクセルマクロで「できること」とは?
●エクセルマクロとは? メリットや利点を解説
●エクセルマクロのサンプルファイルを無料ダウンロード
引継ぎが必要なら、業務手順書も作成してみる
業務チェックリストは、ある時点の仕事に必要な項目をリストアップしたものです。
しかし、仕事全体で引き継ぐことを考えるなら、手順書や業務マニュアルを作成しておくことをお勧めします。
そうすれば、仕事の引き継ぎが簡単になります。以下の記事で説明していますので、合わせて読んでみてください。
●業務マニュアル・手順書の作成方法
●業務マニュアル作成の目的とは?
●読まれる手順書を作るコツ
仕事のスピードをあげたいなら、業務効率化のスキルを磨こう
業務チェックリスト作成の方法を紹介しましたが、チェックリストは、あくまで仕事を早く行うための一つの手段です。
もし、仕事を早く行うためのコツやポイントを知って、仕事のスピードを上げたいなら以下の記事もお勧めです。
●パソコン操作が早くなる20のコツ
●多くの企業で採用されている業務効率化の事例
●仕事のムダの見つけ方
●業務効率化のテクニックやアイデアの出し方
使われる業務チェックリストを作る
ここで紹介した3つのコツを意識すれば、使ってもらえる業務チェックリストを作成できます。
しかし、これらのコツを頭では分かっているだけでは足りません。自分の仕事で試してみなければ、使ってもらえる業務チェックリストにはなりません。
例えば、水泳は泳ぎ方を見ただけで泳げるようになることはありません。泳いでみて、どうすればもっと上手に泳げるかを考えることで、うまく泳げるようになります。
これは、チェックリスト作成も同じです。ここで紹介した内容をベースにして、「どうすればもっと良くなるか」を考えて、実践することが大切です。
ぜひ、この記事を読んだあなたがチェックリストを作成して、仕事を上手に回せるようになることを期待しています。