パソコンスキルの教科書

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東京大学大学院卒。博士課程に進学を志すも、担当教授と折が合わず、無職になる。医者を目指すも結局断念。田舎で派遣社員として働く。「スキルがなければ、仕事ももらえない」と悟り、ビジネススキルを学ぶ。プログラミング、英語を学び、一部上場企業へ転職。年間100時間以上の業務効率化を行い、社内講師に抜擢。海外の案件を担当し、数億円のプロジェクトに携わる。個人の事業でも、月売上100万を達成。現在は、自分の価値を高めるためのスキル向上支援を行う

無駄な作業を省く!仕事の効率が悪い会社の原因と改善方法やポイント

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職場で働いていると、効率が悪い仕事があります。たとえば、ムダが多い会社ほど、やらなくていい作業をしていたり、同じ作業を手計算で行ったりしています。

このような仕事は、効率的な進め方を理解している人からすれば、「なぜそれが必要なのだろうか」とギモンに感じます。

しかし、作業をしている本人はなかなか改善することができません。それは、自分の仕事にムダがあることに気づいていないからです。そのため、いつまで経っても作業の効率が悪いままになってしまうのです。

この記事では、効率の悪い仕事の原因を見抜き、効率よく進めるための改善のコツを紹介します。

そもそも効率の悪い仕事とは?原因やチェックリスト

職場での仕事を見ていると、「効率が悪い。もっと早くできるのに。」と感じることがあります。実際、ムダな仕事は数多くあります。しかし、「どの作業がどうムダか?」と聞かれると答えるのが難しいものです。

それは、「効率の悪い仕事とは何か?」を整理できていないからです。これを理解しておかないと、効率のよくない仕事を見抜くことができません。そこで、効率の悪い仕事について解説します。

効率の悪い仕事とは?

効率の悪い仕事とは、ロスが生じている仕事のことです。たとえば、本来10分で終わる仕事にも関わらず、やり方が正しくないために30分も60分もかかっている仕事を指します。

実際、私が勤めていた会社では、エクセル関数で自動計算すれば、すぐに終わる作業がありました。しかし、担当者がエクセルを上手に使えないために、エクセル関数なしで手計算を行っていました。そのため、10分以上かかっていました。この作業だけで、10分以上のロスが生じていました。

このように、正しいやり方を採用せずに、ロスが生じている仕事こそ効率の悪い仕事です。

効率の悪い仕事の原因は「業務の7大ロス」のどれか

効率の悪い仕事には、必ずロスが生じています。そのロスの原因は、以下の7つに分類されます。

[1] 情報ロス
[2] 作業ロス
[3] 停滞ロス
[4] 物流ロス
[5] 能力ロス
[6] 時間ロス
[7] 品質ロス

上記の7つのロスがいくつか重なったり、1つずつロスが大きいほど、どんどん仕事の効率が悪くなります。

たとえば、エクセル関数やエクセルVBAを使わずに手計算でデータ入力をしている場合があります。手計算で仕事をすると、どのようなロスが生まれるかというと、以下の2つのロスが発生します。

[A] 作業ロス|自動計算できるのに、手計算による作業
[B] 品質ロス|計算ミスの頻発することによるやり直し

これらのロスは、データ数が増えると、さらに効率の悪くなります。実際、データ数が1000を超えると、2つのロスによるムダはとても大きくなります。

つまり、効率の悪い仕事とは、業務の7大ロスがどれだけあるかで決まります。また、ロスの種類は少なくても、1つのロスが大きいと、効率が悪い仕事となってしまいます。

効率が悪い職場に見られる7つのロス|チェックリスト

効率の悪い仕事に見られるロスは、以下の7つです。詳細を一覧にしましたので、あなたの会社の仕事を振り返って、チェックしてみてください。

 
7大ロス ロスの名称 ロスの内容
情報ロス 指示待ちロス 他部門や他人の指示を待っている
情報不十分ロス 情報が十分に伝わっていない
未標準化ロス 同じ作業であるが人によってやり方が異なる
作業ロス 作業不足ロス 完成した作業の内容が不足している
ムダな作業ロス やらなくてもよい仕事をしている
重複・過剰作業ロス 同じ作業を他部署でも行っている
転記作業ロス 同じ情報を別の紙に書き写している
手作業ロス 自動化できるのに手作業で行っている
チェック作業ロス 何回も同じ人・上司がチェックしている
ファイリングロス ファイリングが整備されていないため情報を探す
停滞ロス 納期遅れロス 指定された記事が守れない
中断ロス 仕事が途中で中断される
リードタイムロス リードタイムが長すぎる
物流ロス 運搬ロス 情報や書類を運搬・伝達配布する
レイアウトロス レイアウトが悪いため、移動が長い
能力ロス スキルロス 仕事に不慣れで必要以上に時間を費やす
多能工化ロス その人でないと仕事にならない
時間ロス リカバリーロス 自分は手が空いているのに、他の人を手伝えない
決定ロス 意思決定が遅れる
会議調整ロス 会議を始める・終わる時間を守れない
品質ロス コミュニケーションロス 意思疎通できていない
ミスロス 判断ミスや作業ミス
精度ロス 作業の正確さに欠ける
修正手直しロス やり直しが発生する
延期ロス 仕事を先延ばしにする

ぜひ、あなたの仕事と照らし合わせて、ロスに気づきましょう。まだまだ無駄を改善できることに気づけるはずです。

効率が悪い仕事の改善方法|改善事例を合わせて紹介

効率の悪い仕事を効率良くするためには、改善策を講じる必要があります。ただ、仕事を効率化した経験が少ない人ほど、効果的な改善方法が出てきません。そして、とりあえず改善しようとして失敗します。

しかし、効率が悪い原因が上述した7大ロスのどれに該当するか分かれば、改善案は自然と見つかります。ここでは、業務の7大ロスごとに代表的な改善策を紹介します。

まずは、あなたが改善したい業務が、どんなロスに起因しているかを見極めた上で、以下を読んでみてください。

改善方法1|情報ロスへの対策事例

7大ロス ロスの名称 ロスの内容
情報ロス 指示待ちロス 他部門や他人の指示を待っている
情報不十分ロス 情報が十分に伝わっていない
未標準化ロス 同じ作業であるが人によってやり方が異なる

情報ロスとは、情報が乏しく判断ができない状態を指します。こういった場合には、業務手順書を作成してルールを決めます

たとえば、情報が十分に伝わっていないことが原因の場合、誰からどんな情報をもらうかを業務手順書に明記しておきます。そうすれば、「○○が足りないから、あの人に聞けばいい」と分かります。

このように、情報不足によって断ができない場合は、その判断基準を明記した業務手順書を作成するのがオススメです。

改善方法2|作業ロスへの対策事例

7大ロス ロスの名称 ロスの内容
作業ロス 作業不足ロス 完成した作業の内容が不足している
ムダな作業ロス やらなくてもよい仕事をしている
重複・過剰作業ロス 同じ作業を他部署でも行っている
転記作業ロス 同じ情報を別の紙に書き写している
手作業ロス 自動化できるのに手作業で行っている
チェック作業ロス 何回も同じ人・上司がチェックしている
ファイリングロス ファイリングが整備されていないため情報を探す

作業ロスとは、仕事が50%しかできていなかったり、逆に120%やってしまったりすることです。作業不足では仕事として成立しませんが、過剰もムダを生んでいます。

こういった場合、何をどこまでやればいいのかを決めることが対策です。たとえば、ある報告書を作成する場合、Aさんは10枚も作成する一方が、Bさんは3枚で作成することがあります。

これは、何の項目を書けばいいのか決まっていないために発生しています。そのため、あらかじめ雛型を決めておき、何をどこまでやればいいのかを分かるようにしておくことで対策可能です。

改善方法3|停滞ロスへの対策事例

7大ロス ロスの名称 ロスの内容
停滞ロス 納期遅れロス 指定された記事が守れない
中断ロス 仕事が途中で中断される
リードタイムロス リードタイムが長すぎる

停滞ロスとは、予測に反した出来事が発生し、仕事が止まってしまうことです。たとえば、上司が出張で10日間、署名がもらえない場合があります。

こういった場合、仕事の段取りが甘いことが原因です。仕事を始めるまえに、必要な作業(上司の署名)などを把握しておく必要があります。

スケジュールがギリギリの仕事の場合は、段取り表を事前に作って関連者と共有しておくことで対策可能です。

改善方法4|物流ロスへの対策事例

7大ロス ロスの名称 ロスの内容
物流ロス 運搬ロス 情報や書類を運搬・伝達配布する
レイアウトロス レイアウトが悪いため、移動が長い

物流ロスとは、物を運ぶ距離が遠いことで発生するムダです。たとえば、チームで仕事をするとき、机が遠かったりフロアが違ったりするとコミュニケーションがとりづらいときがあります。

こういった場合は、チームメンバーの机を近づけることで対策を打ちます。また、外部フロアから相談者が多く来る場合は、担当者を階段に近い席に配置します。

改善方法5|能力ロスへの対策事例

 
7大ロス ロスの名称 ロスの内容
能力ロス スキルロス 仕事に不慣れで必要以上に時間を費やす
多能工化ロス その人でないと仕事にならない

能力ロスとは、他の人のスキルが不足することで、仕事の早さに違いが生じることです。たとえば、エクセルマクロを使える人とそうでない人がいる場合、マクロを使える人はデータ処理が早いです。しかし、エクセルが苦手な人は、仕事が早くなりません。

エクセルマクロとは、以下の記事で紹介していますので、合わせて読んでみてください。

www.fastclassinfo.com

こういった場合は、課員のスキルをすることで対応します。その一つとして、仕事のスキルが高い人にノウハウを共有してもらうことがあります。実際、営業部門では、セールストークが上手な人がチーム内でやり方を共有するのはよくあることです。

このようにノウハウを共有することで、全員が同じレベルで対応できるようにレベルアップするような策を取ります。

改善方法6|時間ロスへの対策事例

7大ロス ロスの名称 ロスの内容
時間ロス リカバリーロス 自分は手が空いているのに、他の人を手伝えない
決定ロス 意思決定が遅れる
会議調整ロス 会議を始める・終わる時間を守れない

時間ロスとは、何もしていない状態を指します。たとえば、作業が早く終わってやることがない状態は、時間ロスが発生しています。

こういった場合、何もしていない時間にやる仕事をあらかじめ決めておきます。資料整理や次の会議の準備など、やることはあります。その時間に充てるようにするように習慣しておきます。

また、チーム内で遅れている仕事を把握して、そこをサポートするのもアリです。このように、終わったときに何をするか決めておくことで対応可能です。

改善方法7|品質ロスへの対策事例

7大ロス ロスの名称 ロスの内容
品質ロス コミュニケーションロス 意思疎通できていない
ミスロス 判断ミスや作業ミス
精度ロス 作業の正確さに欠ける
修正手直しロス やり直しが発生する
延期ロス 仕事を先延ばしにする

品質ロスとは、ミスによるやり直しのことです。たとえば、プロジェクトの終盤で予定外の仕事が発生することがあります。これによって、当初の仕事に上乗せが起こります。

こういったミスが起こる理由は、段取り不足です。計画の最初で必要なメンバーに声掛けして、できるだけ情報を集めておきます。どのタイミングで、何が必要かを段取りの時点で組みこんでおきます。

段取りよく進める手法としては、CCPM(Critical Chain Project Management)があります。以下の書籍で紹介されています。実際、私が勤めていた企業でもCCPMを採用した結果、プロジェクトが2か月前倒しで終了することができました。

CD‐ROM付 目標を突破する 実践プロジェクトマネジメント

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正しくつかいこなせば、大きく効率化できるので、ぜひ試してみてください。

もし、改善事例について知りたいなら、こちらの記事で詳しく解説していますので、合わせて読んでみてください。

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仕事が改善できない理由とその対策

ここまで、仕事を改善する方法を紹介してきました。これを知ると、「よし、あの効率の悪い仕事を改善してやろう」という気持ちになるかもしれません。

しかし、複数人が関係するような大きな仕事から改善するのはオススメしません。なぜなら、多くの人は変えるのがイヤだからです。

たとえば、「○○をやれば改善効果が高いので、○○を取り入れよう」と提案します。すると、「なんで?本当?」といった反対案が必ず出てきます。うまく反論処理できればいいのですが、反対意見に押し切られると、改善がうまくいきません。

ではどうするかというと、自分の仕事を改善から始めるのです。その理由はこれから説明します。

いきなり大きな仕事を効率化しようとすると失敗する

仕事を改善するには、変化が必要です。そのとき、多くの人は変えるのが嫌がります。それは、新しいことを覚える必要があるからです。

たとえば、「紙への記入」を「パソコンへの記入」にやり方を変えるとします。担当者がこの提案を聞くと、変えるのを嫌がります。パソコンへの記入方法を新しく覚える必要があるからです。彼らからすれば、そんな面倒なことはしたくないのです。

このとき、どれだけわかりやすい改善提案をしても、「やりたくない」という意見が必ず出てきます。それは、変えたことによる効果を実感できないためです。

このような抵抗が起きると、「年間100時間以上の改善効果が見込める」と伝えても動いてくれません。どうしても、変える手間の方が大きいように見えるのです。

では、どうすればいいのでしょうか。それは、自分の評判を上げ、「こいつの提案なら、大丈夫だ」と思わせることです。

自分の仕事を効率化して評判を上げることが先決

人は実績や成果を上げると、意見を聞いてくれます。なぜなら、安心が出るからです。

たとえば、試験勉強で困っているとき、学校の成績がいい友達に相談するはずです。逆に、成績が良くない人の意見は聞かないでしょう。それは、成績がいい人なら、「正しいやり方を知っているだろう」と考えるからです。

ただ、実際には成績がいい人が言っていることが本当かどうかは分かりません。それでも、「この人の言うことは正しいはずだ」と思えるのは、実績や成果に裏打ちされた安心感があるからです。

そのため、まずは自分の仕事を効率化して、「あいつは効率的に仕事をしている」という評判を作るのです。

自分の仕事を効率化して、スキルアップする時間を作る

また、自分の仕事を効率化することで、スキルアップする時間を作ることもできます。たとえば、私はエクセルマクロを習得して、自分の仕事を年間100時間分の効率化を実現しました。

とくに、マクロを使ってデータ集計をボタン一つで終わるようになったことで、半日仕事が10秒で終わるようになりました。エクセルマクロについて詳しく知らない方は、こちらの記事がオススメです。

www.fastclassinfo.com

これにより「あいつは効率的に仕事をする」と評判を得ました。ただ評判を得ただけではなく、スキルアップに使える時間も増えました。本来、仕事をする時間で、本を読んだりウェブで調べたりして、さらに効率化について学ぶことができたのです。

その結果、他の人が知らない手法を学び、もっと効率化できるようになりました。たとえば、CCPMを学ぶことで、一段上の効率化ができるようになりました。また、レベルの高いマクロを習得してウェブから自動で情報を取得するまでに至りました。

ここまで出来るようになれば、「私が○○をしたらどうか?」と提案するだけで、意見が通るようになります。「やりたくない」という意見が、「○○さんの言うことなら」と変化します。

もし、あなたが周囲に賛同されながら、仕事を効率化したいなら、実績や成果を作ることを最初の目標にしてみるといいでしょう。

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