パソコンスキルの教科書

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東京大学大学院卒。博士課程に進学を志すも、担当教授と折が合わず、無職になる。医者を目指すも結局断念。田舎で派遣社員として働く。「スキルがなければ、仕事ももらえない」と悟り、ビジネススキルを学ぶ。プログラミング、英語を学び、一部上場企業へ転職。年間100時間以上の業務効率化を行い、社内講師に抜擢。海外の案件を担当し、数億円のプロジェクトに携わる。個人の事業でも、月売上100万を達成。現在は、自分の価値を高めるためのスキル向上支援を行う

論理的な文章が書けない人にありがちな5つの特徴と正しい書き方のコツ

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論理的な文章かどうかは、その文章を読めばすぐに分かります。とくに文章のつながりを考えずに作られた文章には、共通する問題や特徴があります。

たとえば、「文章の論理が破綻している」「文章の順番が違う」「余計なことを書く」「まとめがない」「接続詞の使い方が間違っている」という5つは、自己流の文章によく見られる特徴です。

論理的でない文章を書くと、あなたの意図を相手に理解してもらえないだけでなく、あなたが仕事ができない人という印象を与えてしまいます。

この記事では、論理的でない文章に見られる5つの特徴と改善方法について詳しく説明していきます。

そもそも論理的な文章とは?意味や特徴

そもそも論理的な文章とは何かというと、文のつながりにズレがない文章のことです。文のつながりにズレがないため、説得力があったり、わかりやすい印象を与えたりという特徴があります。

たとえば、以下の文章を読んでみてください。

[問題]
試験に不合格になる原因の一つとして、「モチベーションが上がらない」ということが挙げられます。やる気を維持するには、目的や意義を明確にすることが必須なのです。
しかし、目的や意義を明確にするだけでは、やる気を維持するのは難しいです。どうしてもやる気は低下してしまうからです。では、どうすればいいのでしょうか。

[解決]
やる気の低下を感じたら、うまく休みを入れるようにする。たとえば、1時間毎に休むことでやる気の低下を防ぎます。

[理由]
体が疲れている状態で、勉強を続けると、やる気が一気に消耗されるから

[まとめ]
やる気が低下してきたと感じたら、休みを上手くはさむ。

上記の文章は、問題、解決、理由、まとめに分けて記載されており、伝えたい内容が明確です。このように、一貫してズレがない文章を書くと、説得力のある内容になります

しかし、いざ文章を書いてみると、論理的に書くのはカンタンではありません。論理的な書き方を知らない人は、必ずといっていいほど、論理的でない伝わらない文章を書いてしまいます。

論理的でない文章に見られる5つの特徴

誰でも「この文章は論理的におかしい」といった指摘を耳にしたことがあるはずです。早い話、伝えたいことが分からない文章ということです。

しかし、文章を作成した経験が少ないと、どこがどう間違っているのかを理解するのはムズカシイものです。そこで、ここでは論理的でない文章に共通する5つの特徴・問題を紹介します。

特徴1|論理が破綻している

よく論理が破綻しているという言葉を耳にします。論理が破綻しているとは、文の前後がつながっていないことを意味しています。たとえば、以下の文章を見てみましょう。

受験勉強では、暗記力が最も重要です。暗記力があれば、合格点が狙えます。
しかし、問題の意図を読む力も必要です。問題の意図を読む力がないと、どう答えればいいか迷うからです。
つまり、問題の意図を読む力と暗記力がないと、難関校に合格することは難しくありません。

この文章は、一見すると問題ないように感じるかもしれません。しかし、最初の文で「暗記力があれば合格点が狙える」といっているにも関わらず、次の文で「問題の意図を読む力も必要」と矛盾したことをいっています。

そのため、暗記力と問題の意図を読む力のどちらについて話をしたいのか分かりません

多くの人は「自分はこんな間違いは犯さない」と思うかもしれません。しかし、誰もが前後がつながっていない文を書いてしまいます。実際、文章を書くことだけに集中していると、知らず知らずのうちに文章がつながらなくなってしまうのです。

このように、論理が破綻している文章は文章作成の経験が少ない人に多い特徴です。

特徴2|伝える順番がおかしい

他人の文章を読んでいると「伝える順番がおかしい」場合も多いです。言いたいことはなんとなく理解できるけれど、何度か読み返さないと、伝えたいことがわからない文になっているのです。

例えば、以下の文章を見てみましょう。

[1] 試験に不合格になる原因の一つとして、「モチベーションが上がらない」ということが挙げられます。やる気を維持するには、目的や意義を明確にすることが必須なのです。
[2] このとき、1時間毎に休むことでやる気の低下を防ぎます。逆に、体が疲れている状態で、勉強を続けると、やる気が一気に消耗されます。
[3] こうしたことから、やる気が低下してきたと感じたら、休みを上手くはさむことが必要なのです。
[4] 実際、目的や意義を明確にするだけでは、やる気を維持するのは難しいです。どうしてもやる気は低下してしまうからです。そのため、やる気の低下を感じたら、うまく休みを入れるようにしましょう。

この文章は、[1]と[2]のつながりが弱く、論理が飛躍しています。[1]で「やる気維持には、目的や意義を明確にすること」と言っておきながら、[2]で「休みが大切」と言っています。これでは、「目的や意義を明確にすること」と「休みが大切」のどっちが大切なのか分かりません。

そのため、[2]の文章を読んだときに、「どういうこと?」となってしまいます。

ではどうすればいいかというと、[4]の文を[1]と[2]の間に入れます。そうすれば、以下のように、先に「休みが大切」という文章を書くことで、論理の飛躍がなくなります。

[1] 試験に不合格になる原因の一つとして、「モチベーションが上がらない」ということが挙げられます。やる気を維持するには、目的や意義を明確にすることが必須なのです。
[4] しかし、目的や意義を明確にするだけでは、やる気を維持するのは難しいです。どうしてもやる気は低下してしまうからです。そのため、やる気の低下を感じたら、うまく休みを入れるようにしましょう。
[2] たとえば、1時間毎に休むことでやる気の低下を防ぎます。逆に、体が疲れている状態で、勉強を続けると、やる気が一気に消耗されます。
[3] こうしたことから、やる気が低下してきたと感じたら、休みを上手くはさむことが必要なのです。
(接続詞も修正して、わかりやすくしています)

このように、文章の順番がおかしくなっているために、理解しにくい文章になっている人も多いです。

特徴3|余計な内容を書く

文章を書き始めると、一生懸命文章を書くあまりに、文章全体の主旨からはずれた文章になってしまう人もたくさんいます。つまり、余計な内容を書いてしまうということです。

例えば、以下の文章を見てみましょう。

[1] 試験に合格するには試験の過去問から始めるのが定石です。
[2] 過去問から始めることで、試験の出題範囲が分かり、何を重点的に勉強すればいいかが分かるようになるのです。
[3] たとえば、TOEICにはリスニングとリーディングがあります。そのため、ライティングやスピーキングを勉強することは、TOEIC対策には不要だと判断できます。
[4] 一方で、TOEFL iBTにはライティングやスピーキングも含まれます。ライティングやスピーキングも勉強が必要なので、学ぶ順番を考えないと、効率良く習得することができません。
[5] このように、試験に合格するには、学ぶ順番を考えて効率良く勉強する必要があるのです。

この文章は、伝えたい内容は理解できます。しかし、余計なことを書いてしまったばかりに「何を伝えたいのかがわからない文章」になっています。

もともとは「試験合格には過去問から始めるべき」という文章です。それが、「TOEFL iBTにはライティングやスピーキングの勉強も必要」という余計な文章が入っているせいで「学ぶ順番を考えて効率良く勉強する必要がある」という結論になっています。

この文章であれば、「[4] また、TOEFL iBTには~」という文は要りません。そのため、[4]を削除して、[5]を「過去問から勉強開始して、出題範囲を調べることが先決です。」とします。

このように、文章の主旨から外れた文章は書かない判断が必要です。

特徴4|まとめやサマリーがない

まとめのある文章は、読み手に喜ばれます。なぜなら、読み手が文章の内容を理解しやすくなるからです。まとめとは、長い文章を読む前、読んだ後のどちらからに数行で書いた要約のことです。

たとえば、文頭にある「新規設備を導入することで、100時間の業務効率化を行う」といった文章全体を一言で表したメッセージや、文章の最後に「このように~です」「こうしたことから~である」という文章のことです。

実際、たくさんのメールを処理しないといけない人にとって、文章の内容を事細かに読んでもらうことは期待できません。そうしたとき、まとめの文章があることで内容の理解が深まります。このように、文章を通じて相手に何かを伝えるとき、まとめは必須です。

特徴5|接続詞が正しく使われていない

読みやすい文章には、正しい接続詞が欠かせません。接続詞は文と文をつなぐノリの役割を果たします。文章がうまい人ほど、接続詞を正しく使いこなします

一般的に、「しかし」の後がもっとも伝えたいことであり、「ちなみ」の後は、補足情報のため、読む必要がほとんどありません。

このように、接続詞にはそれぞれに異なる意味・機能があります。接続詞を正しくうまく使えば、伝わる文章になります。たとえば、いかの文章を読んでみてください

[1] この本は分厚い。しかも難しい
[2] この本は薄い。しかし難しい

[1] は「しかも」(付加)が使われています。「分厚いし、難しい。もう読んでられない!」という印象を与える文章です。

[2] は「しかし」(転換)が使われています。この文章では、薄いことよりも、「難しい」ということを伝えたいワケです。

ちなみに、接続詞の意味・機能の一覧はコチラです。

解説 つまり、要約すれば、すなわち
根拠 なぜなら、というのも、したがって、だから
例示 たとえば
付加 しかも、むしろ
転換 しかし、だが
補足 ただし

ここで紹介した接続詞の意味を理解して使うと、それだけで、グッと伝わる文章になります。

論理的な文章を書けるようになるための2つのポイント

論理的な文章を書けるようになるには、どういった対策を行えばいいのでしょうか。それは、以下の2つのポイントを押さえることが必要です。なぜなら、上述した5つの問題を引き起こしているのは、以下の2つが曖昧なのが原因だからです。

2つのポイント
[1] 相手にやってほしいことを決める
[2] 文章を書くルールを学ぶ

これから詳しく解説します。

ポイント1|相手にやってほしいことを決める

仕事で資料を作成することがありますが、そもそも資料作成する目的は何でしょうか。それは、相手に行動してもらうことです。

たとえば、提案書を作成する場合、目的は「上司から許可をもらう」、「取引先に提案を受け入れてもらう」ことです。目的を設定すれば、その目的から逆算して文章を作成することができます。

実際、上司から許可をもらうと決めた場合、「上司が許可を出すには何が必要なのか」と考えるはずです。そう考えれば、提案を行うための「費用」、「期間・時間」、「必要性」といった項目が提案書に必要になることが分かります。

つまり、目的が明確になれば、文章全体を「上司から許可をもらう」ことから逆算した構成にできるのです。逆に言えば、目的が不明確だと、何を書けばいいのか定まりません。

その結果、余計なことを書いたり、伝える順番がおかしくなったりしてしまうのです。

ポイント2|文章を書くルールを学ぶ

文章には型やルールがあります。型やルールとは、分かりやすい文章を書くお作法です。たとえば、野球では、バッティングフォームには型があります。その型に従った練習をすることで、球が打てるようになります。

文章も同じです。たとえば、接続詞にはそれぞれ意味があり、使い方が決まっています。このルールに従って、文章を書けば、分かりやすい文章が書けます。

しかし、接続詞を知らない人は、自己流の文章になってしまいます。その結果、文章の論理展開が破綻するのです。

せっかく文章を作成しても、そうした問題があると、質が低い資料になってしまいます。低品質な資料を相手に渡しても、読む側からイイ返事をもらえることはありません。

そうしたことを避けるためにも、論理的かつ理解しやすい文章を書くためのルールを知っておくことが大切です。

このように、論理的な文章を書けるようになるには、相手にやってほしいことを決めることが最初のステップです。そして、そこから逆算して文章構成を作成します。そこまで準備が整ったら、ルールにしたがって、文章を書いていきます。

この流れを無視すると、「文章の論理が破綻している」「文章の順番が違う」「余計なことを書く」「まとめがない」「接続詞の使い方が間違っている」といった論理的でない文章になってしまうのです。