仕事でフローチャートを作る場合があります。
しかし、フローチャートを作ろうと考えても、何をどのようなレベルで作成すればいいのか分からない人は多いです。
なぜなら、何のためにフローチャートを作成するのか理解している人はほとんどいないからです。
そのため、自己流で作成してしまい、使えないフローチャートを作成してしまいます。
この記事では、仕事で作成するフローチャートの目的や必要性を解説します。
- JISで定義されるフローチャートとは
- そもそもなぜフローチャート(フロー図)を作成するのか? 目的や位置づけ
- フローチャートを作成する利点やメリット
- フローチャートをどこまで書くか(範囲や精度)は目的に応じて使い分ける
- フローチャートは目的によってツールも変える
- フローチャートを作成して効果はあるのか?
- フローチャート作成より自動化を目指すほうがイイこともある
- フローチャートに加えて、業務手順書も作成してみよう
- 仕事のスピードをあげたいなら、パソコンスキルを高める
- 仕事を効率化したいなら、業務効率化のスキルを磨こう
JISで定義されるフローチャートとは
実はフローチャートの規格として、JIS X 0121-1986で決められています。
JISとは日本工業規格(Japanese Industrial Standards)の略です。
日本の工業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格を指します。
国家規格として考えを統一することで、異常なものが世の中で広まるのを防いでいます。
そして、このJISの規格No「JIS X 0121-1986」がフローチャートと言われています。
詳しくはこちらから見れます。
しかしこの規格を読んでも、フローチャートの作成のヒントはあまり記載されていません。
そこで、私がこれまで仕事で経験してきたことをベースにフローチャートの目的や位置付けをお伝えしてきます。
そもそもなぜフローチャート(フロー図)を作成するのか? 目的や位置づけ
仕事でフローチャートを作成する場合があります。
しかし、なぜ仕事でフローチャートを作成する必要があるのでしょうか。
その理由は簡単で、仕事や作業の全体を見える化するためです。
フローチャートがあれば、その仕事をした経験がなくても誰がいつ何をするのか分かるのです。
例えば、以下は商品の受注管理のフローチャートです。
これを見ることで、受注管理に関わる人がいつ何をすればいいのかすぐに分かります。
このように仕事の全体像を見えるようにするのがフローチャートの位置づけです。
フローチャートを作成する利点やメリット
フローチャートを作成することで仕事の全体像が見えるようになります。
それでは、仕事の全体像が見えることで、何のメリットがあるのでしょうか。
また、どのような仕事で使うのでしょうか。それは、以下の3つです。
No | フローチャートを作る仕事 | メリット・利点 |
---|---|---|
1 | 担当者自身の仕事 | 担当者自身の仕事に対する理解度を上げ、効率化する |
2 | チームで行う業務フロー | 仕事の平準化、引継ぎがスムーズにする |
3 | 社外/社内向けのプレゼン | わかりやすく伝え、協力を得る |
以下で詳しく説明していきます。
メリット1|担当者自身が使うためのフロー
フローチャートを作成する目的の一つに、担当者の理解度向上があります。
なぜなら、仕事の全体像をつかむことで、いつまでに何をすればいいか分かるようになるからです。
例えば、初めての仕事をするとき、どのように仕事を進めていくか迷うときがあります。
このような場合、フローチャートを作成するとメリットがあります。
特に新しい仕事では、どのように進めればいいか勝手が分かりません。
そのため、担当者自身が自分で予測してみたり知識にある人に聞いたりすることで、フローチャートを作成するのです。
そうすることで、担当者自身の仕事への理解度が向上します。
メリット2|会社やチームで行う業務フロー
会社やチームで行う業務の手順書用フローを作成する場合もあります。
会社やチームでフローチャートを作成するメリットは、誰でも仕事を出来るようにするためです。
例えば、会社では社内手続きをするための手順を整備していることがあります。
実際、私が勤務していた会社では出張費の経理処理をするためのフローがありました。
それは社内のウェブサイト(イントラ)に掲載されており、申請者が経理へどのような手順で、出張費精算が行われるのかフローチャートで明記されていました。
こうすることで、経理の担当者に問い合わせることなく誰でも処理を行うことができていました。
メリット3|社外(社内)のプレゼン資料のフロー
会社では、パワーポイントでフローチャートを作成することがあります。
なぜなら、フローチャートを使うことでプレゼン資料を分かりやすくできるからです。
例えば、新規製品を導入する場合、社内で多くの部署を巻き込んでプロジェクトを進めていく必要があります。
しかし文章だけで説明されると、どの部署がどのように関わればいいか分かりづらいです。
そこで、フローチャートを作成し、どの部署にどのタイミングでどのようにかかわってほしいのかを示すのです。
そうすることで、プロジェクトの全体像と関連者のタスクが明確になります
もし、このようなフローチャートがないと、よく分からないからもっと説明してほしいといった指摘をされて、プロジェクトの進捗が遅れてしまいます。
フローチャートをどこまで書くか(範囲や精度)は目的に応じて使い分ける
フローチャート作成には3つの目的があるとお伝えしました。
実は、この3つの目的に応じて、フローチャートをどのようなレベルで書けばいいかが決まります。
No | フローチャートを作る仕事 | どこまで書くか(範囲や精度) |
---|---|---|
1 | 担当者自身の仕事 | 理解できれば、どのようなレベルでも良い |
2 | チームで行う業務フロー | できるだけ詳細に書く |
3 | 社外/社内向けのプレゼン | エッセンスだけ書く |
以下で詳しく説明していきます。
範囲・精度1|担当者自身の仕事
作業担当者が自分で作る場合、自分が分かるレベルで問題ありません。
なぜなら、自分自身の理解度向上のためであり、それ以上の目的はないからです。
そのため、他の人に説明したり見やすさにこだわったりする必要もありません。
さらに言えば、一度で完成版を作成する必要もないです。
とにかく、常にドラフトで問題ありません。
改善したい箇所を追記していきながら、精度を高めるという意識で作っていきます。
範囲・精度2|チームで行う業務フロー
チームの仕事の効率化を行う場合は、最も精度を高める必要があります。
以下のように誰が何をいつやるのかを明確に分かるようにする必要があります。
なぜなら、自分以外の人間がそのフローチャートを読んで仕事を進めることができなくてはならないからです。
例えばごちゃごちゃしているフローチャートの場合、読んでもらえません。
また、誰が何をするのか分からないフローチャートでは理解できません。
そのため、フローチャートを見たとき、「こうやって進めればいいんだ!」と分かるようなフローチャートを作成する必要があるのです。
範囲・精度3|社外/社内向けのプレゼン
プレゼンとして見せるフローチャートを作成する場合、概要を伝えることが大切です。
例えば、細かい部分まで分かっていても、敢えてシンプルにするのです。
なぜなら、プレゼン資料では「相手から協力をもらうこと」が目的だからです。
プレゼンの段階で、細かい内容を理解してもらう必要はありません。
例えばここで詳細の資料を作成してしまうと、プレゼンがやたらと長くなってしまったり余計な質問が出たりしてしまいます。
そうなると、「相手から協力をもらう」という目的が達成しづらくなります。
そのため、フローはエッセンスだけを載せるのが肝心です。
ただ当然ですが、質問を受けたら回答できるようにしておく必要はあります。
フローチャートは目的によってツールも変える
フローチャートは作成目的によって作成のレベルを変える。
例えば、自分で使うだけなら、手書きでも構いません。大切なのは、簡単に使えるツールを選ぶことです。
また、社外用のフローチャートを作成するなら、簡単に書くことができて、チーム内で共有できるツールを使うと良いです。
プレゼン資料であれば、見た目がかっこよくシンプルなフローを作成できるツールがお勧めです。
もし、エクセルで使えるフローチャートツールであれば、以下の記事で紹介しています。
ぜひ活用してみてください。
フローチャートを作成して効果はあるのか?
上記でフローチャートを作成するときの3つの目的について、メリットも含めお伝えしてきました。
しかし、「フローチャートを作成して本当に効果はあるのか」と考える人は少なくありません。
当然ですが、フローチャートを作成しても全く効果がないこともあります。
なぜなら、フローチャートは作成者次第で分かりやすくもなれば分かりにくくもなるからです。
たとえば、以下の2つのフローチャートを見比べてみてください。
どちらが分かりやすいでしょうか。
もっと言えば、どちらであれば作業をミスなくできそうでしょうか。
おそらくAと答えるはずです。
その理由は、Bには「誰が」の部分が抜けているため、フローとして不十分だからです。
分かりやすくフローチャートを作るコツを知らないと、誰にも使われない
しかし、上記のフローチャートでAと答えた人でも、実際にフロー図を作成するとBのわかりづらいフローチャートを作成してしまいます。
なぜなら、多くの人はフローチャートの正しい作成方法を知らないからです。
そのため、作成途中で悩んでしまって完成できません。
また、完成させたとしても、他人から見たら分かりづらいフローチャートを作ってしまうのです。
たとえば、正しい作成方法を知らない人は、以下のような悩みが出てきます。
・どこまで事細かに書くべきなのか?
・フローチャート作成にはどんなツールを使えば良いのか?
・フローチャートは、ワードで作ったほうが良いのか、パワーポイントのほうが良いのか?
・どういうターゲットを想定して作れば良いのか
・複数の担当者が関わる仕事についてはどのように書けば良いのか?
・フローチャートを作ったはいいけれど、修正作業はどうするか。
もし、このような悩みがあるなら、フローチャートを作成しても、上手く作成できません。
仮に、フローチャートが存在しても、他の人に読んでもらえません。
その結果、手順書作成者は「フローチャートを作成してもムダだ。自分でやるしかない」とあきらめてしまうのです。
つまり、フローチャートをを作成して効果があるのは、書き方を知っている人だけです。
そこで、以下でフローチャートの作成のコツを紹介しています。ぜひ合わせて読んでみてください。
フローチャート作成より自動化を目指すほうがイイこともある
フローチャート作成も大切ですが、仕事を自動化するほうがメリットが大きい場合があります。
なぜなら、フローチャートはあくまで仕事の全体像を見える化するだけだからです。つまり、仕事量は変わらないのです。
一方で、自動化すれば仕事量そのものを減らすことができます。
たとえば、売上の報告書を作成する場合、自動で報告書を作成するのは難しいことではありません。
マクロを使えば、ボタン一つで報告書を作成できるように設定可能です。
動画で紹介しているのは、エクセルの元データから、複数の伝票を自動作成するサンプルです。
エクセルマクロを使って、300件以上の取引データから、取引先ごとに伝票を作成します。
このようなルーティン業務の場合、フローチャートを作成するより自動化を目指すほうが効果があります。
エクセルマクロについては、こちらの記事で解説していますので、あわせて読んでみてください。
●エクセルマクロで「できること」とは?
●エクセルマクロとは? メリットや利点を解説
●エクセルマクロのサンプルファイルを無料ダウンロード
フローチャートに加えて、業務手順書も作成してみよう
フローチャートは、仕事全体の概要を図にしたものです。
しかし、仕事全体で引き継ぐことを考えるなら、手順書や業務マニュアルを作成しておくことをお勧めします。
そうすれば、仕事の引き継ぎが簡単になります。以下の記事で説明していますので、合わせて読んでみてください。
●業務マニュアル・手順書の作成方法
●業務マニュアル作成の目的とは?
●読まれる手順書を作るコツ
●業務チェックリストの作成のポイント
仕事のスピードをあげたいなら、パソコンスキルを高める
フロー図の作成方法を紹介しましたが、フロー図を作成するときパソコンスキルが高いと作成速度を上げることができます。
そのため、パソコンスキルを高めておくと仕事をスムーズに進めることができるようになります。
もし、パソコンスキルについてコツやポイントを知りたいなら以下の記事もお勧めです。
●パソコン操作が早くなる20のコツ
●パソコンスキルを学ぶなら何か学ぶ? 習得方法や学習方法を解説
●求人欄のパソコンスキルはどのレベルか?
仕事を効率化したいなら、業務効率化のスキルを磨こう
業務のフロー図の作成方法を紹介しましたが、フロー図作成の目的は仕事を早く行うことにあります。
そのため、フロー図作成以外の仕事の効率化スキルを学んでおくと、さらに仕事をスムーズにこなせるようになります。
もし、仕事を早く行うためのコツやポイントを知りたいなら以下の記事もお勧めです。
●多くの企業で採用されている業務効率化の事例
●仕事のムダの見つけ方
●業務効率化のテクニックやアイデアの出し方
●単純作業やルーティン業務から抜け出したい人のための仕事の仕組み化の方法
●仕事の失敗を防ぐためのリスクマネジメントのポイント
●納期遅れをなくすための仕事の段取りテクニック