パソコンスキルの教科書

パソコンスキルの教科書

東京大学大学院卒。博士課程に進学を志すも、担当教授と折が合わず、無職になる。医者を目指すも結局断念。田舎で派遣社員として働く。「スキルがなければ、仕事ももらえない」と悟り、ビジネススキルを学ぶ。プログラミング、英語を学び、一部上場企業へ転職。年間100時間以上の業務効率化を行い、社内講師に抜擢。海外の案件を担当し、数億円のプロジェクトに携わる。個人の事業でも、月売上100万を達成。現在は、自分の価値を高めるためのスキル向上支援を行う

エクセルマクロVBAを使える人の3つのレベル|効率化に必要な本当のスキルを解説

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職場でエクセルマクロを使って仕事を仕組化・効率化する人がいます。そういった人を見ると、マクロの知識や経験が豊富だと思うかもしれません。

しかし、マクロの知識や経験が豊富でも仕事を仕組み化・効率化できるとは限りません

実際に、本やウェブを見ればマクロの知識はすぐに手に入ります。それでも、多くの人は業務を効率化するマクロを書けません。

その理由は簡単で、マクロで仕事を効率化するには、マクロの知識や経験だけでは不十分だからです。

この記事ではマクロを使える人のレベル仕事で使えるマクロを書けるようになるために必要な能力についてお伝えします。

エクセルマクロVBAを使える人の3つのレベル|効率化に必要な本当のスキルを解説

マクロを使える人には3段階のレベルがある|特徴や能力を解説

マクロを知らない人からすれば、エクセルマクロを使えるだけですごいスキルをもっている人に見えます。

しかし、それは必ずしも正しいわけではありません。実際には、自分の仕事の範囲でしか効率化できない人もいれば、組織全体の仕事を仕組み化するマクロを書ける人もいます。

これはスポーツ選手を考えてみれば、理解できます。スポーツ選手の中にはなんとかプロになれるレベルの人もいれば、オリンピックに出場するレベルの人もいます。

このようにマクロを使えるからといって、エクセルマクロを使える全ての人が高いレベルの効率化をできるわけではありません

実際には、マクロを使える人の中にも初心者から玄人までレベルが分かれているのです。

そこで、エクセルマクロVBAが使える人を3段階のレベルに分けて説明します。

レベル1|自分の仕事を効率化する

エクセルマクロを使える人「レベル1」は、自分の担当する仕事を効率化できるレベルです。

たとえば自分の担当する業務が在庫管理業務であれば、それをマクロを使って効率化できるレベルです。

以下の図でいえば、水色の部分が自分が関わる業務であり、その仕事をマクロで効率化できます。

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このレベル人の特徴は以下の通りです。

項目 レベル1
仕組み化の能力 手順を最適化できる
マクロのスキル ウェブ、本、他人のプログラムを転用できる
周囲の評価 引き継いだ仕事をよりよくできる(した)

レベル1という評価のため低いと考えるかもしれません。ただマクロを使えるスキルがあるため、仕事ができる人やスキルがある人と評価されます。

しかし、自分の仕事を効率化することを主眼においているので、他の人からは「なんだかすごいスキルを身につけている人」という評価です。

もし、他の人まで考えた仕組みを考えることができれば、すぐにレベル2やレベル3に到達する可能性をもっています。

レベル2|チームの仕事を標準化する

エクセルマクロを使える人のレベル2は、自分のチーム(4,5人)の仕事を効率化できるレベルです。

たとえば、チームで担当する複数の業務をつなげて効率化させることができます。

在庫管理業務であれば、発注書を入手し、在庫管理表にデータを入力、納品書の発行や取引先へのメールまでをマクロを効率化できるレベルです。

具体的には、以下の水色で囲んだ部分の仕事をまとめて効率化するスキルをもっています。

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このレベル人の特徴は、以下の通りです。

項目 レベル2
仕組み化の能力 周囲の人の仕事を含めて最適化
マクロのスキル 複数の仕事をマクロでシステム化できる。たとえマクロ化が難しくても、手順書で対応できる
周囲の評価 仕組みの効率化、やり方を変えた

レベル2ともなると高い能力をもっています。マクロを使ってチームに貢献できるスキルがあるので、仮に転職しても次の会社で能力を発揮できます

実際に他人から見える形で仕組み化をしているので、周囲から「この仕事って効率化できませんか?」という相談をもらうようになります。

欲をいえば、仕事を引き継ぐところまでを視野に入れたマクロを作ることができると、レベル3に到達するできます。

レベル3|部署の仕事を仕組み化する

エクセルマクロを使える人のレベル3は、部署間(20人以上)が絡む仕事を効率化できるレベルです。

たとえば、注文から発送まで「部署をまたいで行う複数の仕事」をつなげることができます。

仕事の全体最適化を行いエクセルが苦手な担当者に向けて、マニュアルを作成したり入力フォームを作成してあげたりするところまでを行います。

具体的には、以下の水色で囲んだ部分の仕事をまとめて効率化するスキルをもっています。

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このレベル人の特徴は、以下の通りです。

項目 レベル3
仕組み化の能力 全体最適化(既存の仕組みを根本から変える)
マクロのスキル 複数の仕事を連動させることを視野に入れてマクロ化できる。話を聞いただけで仕事の流れを図解できる
周囲の評価 部署を超えた組織全体の考え方、行動を変えた。とにかくすごい

レベル3となると、仕事の視点が異なります。マクロを使って部署間をつなぐ仕事をしているため、「あの人は仕事ができる」とウワサになります。間違いなく出世する人と評価されます

周囲への影響力も大きいので、上司からの信頼も厚く誰とでも対応な意見が言えるようになります。

レベル0|今のままでいいから、とりあえず仕事をこなそうとする

レベル0は、エクセルマクロを使う必要がないと考える人です。勘違いしないでほしいのは、エクセルマクロを使わないからといって、レベル0ということではありません。

マクロを使わなくても、仕事ができる人はレベル2,3の視点で仕事をしています。

ただ、自動化が必要な仕事に対して「とりあえず手動で取り組む人」はレベル0といえます。たとえば、何千何万といったデータを扱う仕事に対して手動で行おうとする人です。

実際、レベル0の人は仕組みを考えるより手作業の方がカンタンと考えがちです。

このレベル人の特徴は、以下の通りです。

項目 レベル0
仕組み化の能力 場当たり的にこなす。目の前のこと行う
マクロのスキル 人の作成したマクロを使う。なければ手入力を行う
周囲の評価 指示通りにやったかどうか。作業に慣れたかどうか

レベル0の人は、目の前の仕事をいかにこなすかを考えています。ただ効率が悪くミスも多いので、周囲からはあまりいい評価はもらえません。

レベル2やレベル3の上司から、「もう少し考えてやってみればいいのに」と思われていることも少なくありません。

本当にマクロを使える人になるには全体最適化力が必要

上述のとおり、エクセルマクロを使える人はレベルがあります。ただ、多くの人は「マクロの知識が深いほどレベルが高い」と考えています。

しかし、エクセルマクロVBAのプログラムに関する知識が豊富であれば高いレベルになれるわけではありません

本当に必要な力は仕事や業務を進める力や仕事を俯瞰的に見る視点です。

なぜなら、視点が高くないと仕事の全体最適ができないからです。

以下の2つの図をみてください。水色で示した部分が「見ている視点」です。

レベル1

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レベル3

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この2つではどちらが視点が高いでしょうか。また業務を効率化できるでしょうか。

もちろんレベル3です。仮にマクロの知識や経験が同じでも、視点が低いと自分の仕事を効率化するレベルに留まります。一方で視点が高ければ、チーム全体や会社全体の仕事を効率化できます。

たとえば、仕事をしていると前の仕事のミスが見つかることがあります。このようなとき、レベル1の視点だと自分の仕事しか見ていないため、ミスを予防するような是正策が打てません。

しかし、レベル3の視点であれば部署間の連携ミスだと分かるので、ミスが起こらないように仕組み化することができます。

このように、視点が高いほど業務効率化に対する考えが変わり、仕事や業務を進める力がつくのです。

それでは、視点を高くするには何をすればいいのでしょうか。それは、仕事の流れをつかむ「全体最適力」を鍛えることです。

仕事の全体最適化力とは?

仕事を全体最適化する力とは、段取りを組む力であり仕事全体を俯瞰する視点です。実はその人の視点の高さによって、仕事の始まりと終わりは変わります。

たとえば以下の図をみてください。

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この人の視点では、業務の始まりと終わりは以下のように設定されます。
業務の始まり|注文
業務の終わり|発送

では、以下の図ではどうでしょうか。

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この人の視点では、業務の始まりと終わりは以下のように設定されます。
業務の始まり|在庫管理表の入力
業務の終わり|納品作業者への連絡

上記は、レベル3とレベル1の人の視点の違いを例にしました。このように視点の高さによって、業務の始まりと終わりが異なります。

仕事の全体最適化力とは、その人の視点の高さを表し仕事の範疇を決めているのです。仕事ができる人ほど、無意識的に高い視点を持っています。

全体最適化力を高めるためには、他の人の仕事も含めて効率化してみる

もしあなたが全体最適化力を高めたいなら、他の人の仕事も含めてマクロで効率化してみることをお勧めします。

なぜなら他の人の仕事をマクロで効率化しようとすると、イヤでも視点が高くなるからです。

たとえば、もしあなたが部署Bの仕事のリーダーだとします。そして、部署Aの仕事まで効率化するとします。

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最初に部署Aの発注書を効率化しようと考えていると、実は発注書の上流にある「受注管理表」から最適化しないと仕事全体が効率化されないことが分かります。

このように、他の人の仕事をマクロで効率化しようとするとイヤでも視点が高くなります

もちろん、どこまで効率化するかは効率化に使える時間やマクロのスキルによって変わるでしょう。ただ他の人の仕事を効率化しようとすれば、自ずと視点を高くする必要がでるため、いいトレーニングになります。

仕事の全体最適化力は、マクロの知識・経験に応じて高くなる

仕事を全体最適化するスキルは、視点の高さが重要です。ただマクロの知識や経験があると、さらに全体最適力が上がり、仕組み化や効率化が上手くなります

なぜなら、マクロの知識があればあるほどマクロ化できる幅が広がるからです。

たとえば、エクセルマクロVBAを使えばウェブから情報を自動取得することができます。実際、私がサポートしたお客様の中にはウェブから情報を自動取得することで何百時間も効率化したことがあります。

しかし、ウェブから情報を自動取得するマクロを使える知識がなければ、この選択肢がそもそも思い浮かびません。

つまり、いくら視点が高くてもウェブから情報を取得するマクロの存在を知らなければ、手動で作業せざるを得ないのです。

そのため、仕事を全体最適化するスキルにはマクロの知識や経験も必要なのです。

本当にマクロを使える人になるには、仕事の全体最適化力を高める

マクロの知識や経験だけを学んでも、エクセルマクロVBAを使って本当に仕事を効率化・仕組み化することはできません。

なぜならマクロの知識や経験だけではなく、仕事の流れを俯瞰する「視点の高さ」が必要だからです

もしあなたが高い視点を手に入れて、仕事を全体最適する力をつけたいなら、他の人の仕事も含めてマクロで効率化してみることをお勧めします

そうすれば、自ずとイヤでも視点が高くなります。たとえマクロ初心者でも、視点の高さを意識しながら仕事をするだけでも効率化・仕組み化の力は伸びていきます。ぜひ実践してみてください。