パソコンスキルの教科書

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東京大学大学院卒。博士課程に進学を志すも、担当教授と折が合わず、無職になる。医者を目指すも結局断念。田舎で派遣社員として働く。「スキルがなければ、仕事ももらえない」と悟り、ビジネススキルを学ぶ。プログラミング、英語を学び、一部上場企業へ転職。年間100時間以上の業務効率化を行い、社内講師に抜擢。海外の案件を担当し、数億円のプロジェクトに携わる。個人の事業でも、月売上100万を達成。現在は、自分の価値を高めるためのスキル向上支援を行う

ロジカルシンキング(論理的思考)ができない人の10の特徴と対策

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ロジカルシンキングができる人は、話しが分かりやすく説得力があります。そのため、周囲の人にから信頼を得やすくなります。

一方で、ロジカルシンキングができない人の意見は、「何が言いたいのかよく分からない…」となってしまいがちです。

この差は、本人には実感がないかもしれません。しかし、周囲の人から見るとすぐに分かってしまいます。ただ、自分自身がロジカルシンキングができているかどうかは、意外にわかりづらいものです。

そこで、ロジカルシンキングができない人の特徴と対策についてお伝えします。

ロジカルシンキング(論理的思考)ができない人の特徴10こ

会社の同僚や学校の友人と話をしていると、「この人は論理的思考が苦手そうだな」と感じることがあります。

そのような人を観察していると、同様の特徴が見えてきます。具体的には以下の10こです。

特徴1|結論がハッキリしない
特徴2|仕事の段取りができない
特徴3|積み上げ思考
特徴4|素直ではない
特徴5|質問しない
特徴6|相手の疑問に正しく答えれない
特徴7|理解する力が低い
特徴8|例え話が苦手
特徴9|情報をうのみにしやすい
特徴10|「なぜ?」と問うのが苦手

以下で、一つずつ紹介していきます。

特徴1|結論がハッキリしない

「で、結局なんなの?」と上司や同僚に聞かれても「私は賛成/反対です!」とはっきり言えない人がいます。

実は、本人の中で論点がはっきりしていないのが原因です。そのため、「何にどう答えればいいのか」をはっきり分かっていないのです。

結局、「誰かが考えてくれるからいいや」と、論理的に考えることから逃げてしまうのです。

特徴2|仕事の段取りができない

大前研一氏は、このように述べています

多くの人間と、さまざまなタスクを動かしながら、納期までに全体を完成させるプロジェクトがうまくいくかどうかは、まさに段取りが命運を握っているといってもいい。

段取りを立てるには、仕事を順序立てて整理する力が必要です。しかし、ロジカルシンキングが弱いと、仕事に必要な日数と、仕事のつながりを考慮できないため、仕事の段取りが苦手となってしまうのです。

特徴3|積み上げ思考

積み上げ思考とは、「今できることをやれば、成果につながるだろう」という考え方です。

たとえば、上司に言われたからやる。たまたま本で読んだから、とにかくやってみる。これらの行動は積み上げ思考になりがちです。一見、正しい情報のように見えるかもしれません。

しかし、やっていることが成果につながるかは怪しいです。

たしかに、たまたま成果を出せるかしれませんが、次の仕事も同じように成果が出せるかはわかりません。なぜなら、うまくいった理由を本人が説明できないからです。

一方で、積み上げ思考の反対の考え方に逆算思考があります。

逆算思考ができる人は、「課題とゴールを認識して、ゴールに必要なことを考え行動します」。そのため、次の仕事でも必要なことを整理できるため、継続して成果を出せます。

逆算思考をするには、道筋を立てて考える必要があるため、ロジカルシンキングが必要です。

しかし、積み上げ思考になりがちな人は、筋道を立てて考えるのが苦手で、ロジカルに考えるのを避けてしまうのです。

特徴4|素直ではない

社内の上司や同僚と仕事をしていれば、間違いを指摘されたり、やり直しをさせられることがあります。そのときに「こういう考えもあったのか」と素直に思える人はロジカルシンキングのスキルを伸ばすことができます。

しかし、「自分が正しい」、「あいつは何も分かっていない」と決めつけてしまう人は、ロジカルシンキングの力を伸ばすことができません。

ロジカルシンキングは、考え抜いて、相手の批判を乗り越えていく力です。相手の批判を受け入れることができない人は、成長できないので、ロジカルに考える力を伸ばせません。

特徴5|質問しない

ロジカルシンキングができる人は、仮説を立てることを習慣にしています。しかし、ロジカルシンキングが苦手な人は、「こうなのでは?」と予測をする習慣が身についていません。

そのため、相手の意見や批判に対して、自分なりに考えて質問をすることができません。

特徴6|相手の疑問に正しく答えれない

ロジカルシンキングができない人は、相手の話を構造化するのが苦手です。つまり、相手の話を聞いて、課題、結論、根拠などを分類する力が乏しいのです。

たとえば、「こういう可能性はないの?」と質問されても、「その答えは、○○です。理由は~」と結論を先に答えることができません。

そのため、「この問題は・・・」と、関係ないことを答えたり、とつぜん背景や理由を説明したりしてしまいます。

これは、ロジカルシンキングの力が乏しいため、相手の質問が、何を意図としたものなのかを見分けることができないからです。

特徴7|理解する力が低い

『新版 論理トレーニング(哲学教科書シリーズ)』の著者である野矢茂樹氏はこのように述べています。

「論理的思考力」とか「ロジカル・シンキング」といった言葉がよく聞かれるように、論理とは思考に関わる力だと思われがちである。(中略) 論理力とは思考力のような新しいものを生み出す力ではなく、考えをきちんと伝える力であり、伝えられたものをきちんと受け取る力にほかならない。

つまり、ロジカルシンキングとは、考えを伝えたり、受け取る力です。ですので、業務の報告や仕事を覚えるのが苦手な人は、ロジカルシンキングの力が低い特徴があります。

特徴8|例え話が苦手

ロジカルシンキングは、考えを理解・俯瞰する力です。ですので、ロジカルシンキングが得意な人は、内容を他の言葉で言い換えたり、要約できます。抽象的に考える力が高いとも言えます。なので、たとえ話が得意です。

逆に、ロジカルシンキングができない人は、仕事を理解したり、やっている内容を俯瞰してみる力が不足しているので、うまく他の言葉に言い換えるのが苦手です。

特徴9|情報をうのみにしやすい

糖質制限ダイエットを聞いたことがありますか?実は、この「糖質制限ダイエット」は、糖質制限をするからダイエットできるものでありません。

メカニズムとしては、

糖質制限→タンパク質の食事が増える→満腹感を感じやすくなる→食べる量が減る→カロリーが減る

というものです。つまり、「糖質制限ダイエット」が目指すのは、「カロリー制限ダイエット」なのです。しかし、情報をうのみにしてしまう人は、糖質制限=ダイエットと思いこんでしまうのです。

ロジカルに「なぜ」をするクセがあれば、気づくことができるのですが、論理的に考える習慣がない人は、「糖質制限こそ画期的なダイエット」と思い込んでしまうのです。

特徴10|「なぜ?」と問うのが苦手

ニュートンは、「なぜ月は地球に落ちないのか?」と問いましたし、ダーウィンは「なぜガラパゴス諸島には、ほかの場所では見られない種がこれほどたくさんいるのか?」という疑問を持ちました。

このように、疑問を感じることが、考えることのベースにあります。論理的に考えるということは、「どうすれば、疑問を解消できるのか?と道筋を立てること」です。

ですので、ロジカルシンキングが苦手な人は、「なぜ」と問うのが苦手という特徴があります。

いかがでしょうか? これに該当するものが一つでもあれば、ロジカルシンキングの能力がゼロというわけではありません。

ただ、当てはまる特徴が多いなら、ロジカルシンキングの力を高めていくほうがよいでしょう。

ロジカルシンキングができるようになる方法・コツ

ロジカルシンキングができるようになる方法をお伝えします。そのコツは以下の3つです。

コツ1|話す順番に型をつくる
コツ2|「こういうことですか?」を聞くようにする
コツ3|分からないことを調べるクセをつける

以下で一つずつ紹介していきます。

コツ1|話す順番に型をつくる

ミーティングや上司への報告の場では、こう言ってから話を始めましょう。

「今の議題は○○で、それに対する結論は△△です。その理由は3つあります。」

冒頭で、こう話すことで、聞いている人たちは、発表の内容をスムーズに理解することができるようになります。また、こう話すことで、嫌でも考えないといけなくなります。

自分が物事を考える順番と、話しを聞く相手が理解しやすい順は異なることを覚えておきましょう。

コツ2|「こういうことですか?」を聞くようにする

相手の提案、提案やアドバイスに対して「こういうことですか?」と聞くクセを付けましょう。

これを行うことで、相手のメッセージを要約する習慣をつけることができます。

また相手との議論がインタラクティブになるので、見えていなかった課題を見つけやすくなります。それにより、さらに論理的に考えることができるきっかけになります。

コツ3|分からないことを調べるクセをつける

ロジカルシンキングを伸ばすには、知識を広げることも重要です。知識を増やすことで、考えの幅を広げることができます。

ただし、単純に記憶力を増やす必要はありません。むしろ、情報を深く知りたいときに、どこにいけば調べることができるかを把握していれば十分です。

情報の引き出しを増やすことが重要なのであって、全て理解しておく必要はありません。ですので、まずは調べるクセをつけましょう。

論理的思考力を鍛えるためにお勧めの本|簡単なクイズ問題から本格的な書籍まで

「論理的思考力を鍛えたい」と考え、本腰を入れて論理的思考力を高めたい人のために問題演習やトレーニング方法を紹介します。

ロジカルシンキングを高めるために読んでおきたい書籍をオススメ5冊を紹介します。

論理的思考(ロジカルシンキング)にまだ自信がない人へ

ロジカルシンキングを聞いたばかりの初心者であれば、マンガをオススメします。なぜなら、分かりやすく理解しやすいからです。

たとえば、日本史や世界史といった科目では漫画を読むことで理解を早めることができます。

これは、ロジカルシンキングを学ぶときも同じです。初心者だったり知識が少なかったりする場合は、漫画からスタートしてロジカルシンキングの全体像を掴むことをおすすめします。

マンガで読める マッキンゼー流「問題解決」がわかる本

マンガで読める マッキンゼー流「問題解決」がわかる本

他にもパズル問題による論理的思考力アップもおすすめです。

論理パズル「出しっこ問題」傑作選―論理思考のトレーニング (ブルーバックス)

論理パズル「出しっこ問題」傑作選―論理思考のトレーニング (ブルーバックス)

なぜなら、自分で考える習慣をつけることができるからです。例えば、受験勉強でも教科書だけ読んでいては問題を解けるようになりません。

自ら考えることで学びが深まっていくのです。ただ、論理的に考えるのが苦手な人であれば、初心者にも始めやすいものから着手するのがお勧めです。

パズル問題の書籍は問題文が短く解答も分かりやすいので、かなりとっつきやすいです。

論理的思考力を高める問題集で本格トレーニングしたい人へ

本格的にロジカルに考える力を磨きたい人には、この書籍がおすすめです。

論理のスキルアップ―実践クリティカル・リーズニング入門

論理のスキルアップ―実践クリティカル・リーズニング入門

何かを学ぶとき、問題演習をすることは大切です。例えば、英語や数学を勉強するときも問題演習を行うことで、どれだけ自分が理解しているのが測定することができます。

それは、論理的思考力でも同じです。幸いなことに論理的思考力の科目としてクリティカル・リーズニングはGMAT(ビジネススクールへの入学に必要な試験)の出題範囲の一つとされます。

そこで、このクリティカルリーズニングを学ぶことで論理的思考力を高めることができます。

また、以下の書籍ではGMATの試験問題のCritical Reasoningのパートを実際に解くのもお勧めです。

新テスト対応版 MBA留学 GMAT完全攻略

新テスト対応版 MBA留学 GMAT完全攻略

いずれにせよ問題演習は強力な勉強方法です。

論理的思考力が高い人は、相手の意見を整理したり自分の発言を端的に伝えたりできます。それができる理由は、意見を構造化できるからです。

例えば、論理的思考力が高い人は相手の発言を聞いて「主張」を見抜き、「主張」を支える「論拠1」「論拠2」「論拠3」のつながりを見極めることができるのです。

こういった力は、トレーニングで磨くことができます。以下の本は、文章の論理(流れ)を読み解くためのコツが数多く紹介されています。

新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ)

新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ)

問題と解答が付いているので、自分が間違った箇所が分かるので、トレーニングにはお勧めです。

実際、私もこの本を2周解き論理的思考力を高めた経験があります。本気で論理的思考力を高めたい人にはお勧めの書籍です。

仕事で論理的に考えることが必要な人へ

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

ロジカルシンキングは、問題解決の手法の一つです。しかし、実際は問題解決より問題発見のほうが重要です。なぜなら、問題発見を間違えたら解決したときの効果が低くなるからです。

たとえば、「CDをどうやって売るか?」という問題解決するとします。しかし、これは問題発見を誤っています。なぜなら、Youtubeの存在がありCDは売れないからです。

つまり、「CDをどのようにして売るか」を考えてしまった時点で、解決したときの効果(売上アップなど)は低くなってしまうのです。

この本は、このような問題発見(イシューと呼びます)の大切さを詳しく解説しています。

論理的思考力を鍛える!ロジカルに考えるようになるための問題やトレーニング方法

ここまで、論理的思考力について紹介してきました。

ただ覚えておいてほしいことがあります。それは、現時点でロジカルシンキングができなくても、決して悲観する必要はありません。

なぜなら、論理的思考力は鍛えることができるからです。

ただ、何もしないで出来るようになるものではありません。現状を認識し、改善していけるかどうかが重要なのです。

具体的には、ロジカルに考えることを習慣付けていく必要があります。

もし、「論理的に考えることを鍛えて習慣化したい」と考えているなら、以下の記事で論理的に考えるための方法やトレーニング法を読んでみてください。

●ロジカルシンキング(論理的思考力)とは?
●論理的に話したり伝えたりする方法
●ロジカルライティングの書き方
●論理的な文章が書けない人の特徴と解決策
●ロジカルシンキングを鍛える方法をもっと知りたいなら

仕事ができるようになるためにはロジカルシンキング(論理的思考)だけでは足りない

ロジカルシンキング(論理的思考)は仕事ができるための条件の一つです。

しかし、ロジカルシンキング(論理的思考)ができたとしても、それだけで仕事ができるようになるわけではありません。

例えば、論理的で頭の回転が早い人が多い東大卒の人でも全員が仕事でうまくいっているとは限りません。

実際、仕事をしてみると論理的に考えることが無意味な場面が数多くあります。

それでは、ロジカルシンキング以外にどのようなことを習得する必要があるのでしょうか。

私の経験から、ロジカルシンキング以外に大切なことを以下の記事でまとめています。ぜひ合わせて読んでみてください。

●仕事ができる人の特徴とできる人になる方法
●仕事ができない人の特徴
●仕事が早い人の7つの特徴と早くなるためのコツ
●仕事で結果が出る人でない人の違いとは? キャリアアップのポイントも解説
●仕事で評価をもらえないのはなぜ? 10の評価基準とは
●仕事の失敗をどう乗り越えるか?
●仕事の段取りを組む方法|納期遅れなしで管理するためには?
●仕事ができるようになるために読んでおきたい本
●大企業ほど社内評論家が多い理由