パソコンスキルの教科書

パソコンスキルの教科書

東京大学大学院卒。博士課程に進学を志すも、担当教授と折が合わず、無職になる。医者を目指すも結局断念。田舎で派遣社員として働く。「スキルがなければ、仕事ももらえない」と悟り、ビジネススキルを学ぶ。プログラミング、英語を学び、一部上場企業へ転職。年間100時間以上の業務効率化を行い、社内講師に抜擢。海外の案件を担当し、数億円のプロジェクトに携わる。個人の事業でも、月売上100万を達成。現在は、自分の価値を高めるためのスキル向上支援を行う

セミナー集客でフォーム申込者に自動返信して参加方法を無料で通知する

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セミナーをはじめて行うとき、困ることの1つとして、集客や入金管理があります。とくに、パソコンが苦手な人は、以下のことで困ることがあります。

・いつフォームから申込がきたか分からない
・申込があっても、こちらの返信が遅れて、申込率が下がる
・申込メールをチェックし忘れてしまい、申込者からクレームがくる

しかし、自動返信の設定をして、その自動返信メールに入金先や開催場所を通知すれば、抜けや漏れを心配する必要がなくなります

この記事では、誰でもカンタン無料に始めることができる自動返信の設定方法を紹介します。

この記事を読めば、できるようになること

この記事を活用すれば、以下の[1]~[3]までを行うことができます。
[1] セミナー申込者がフォームから申し込む
[2] 申込者に自動で返信メールが送信される
[3] 自動返信メールに、入金方法を記載しておき、申込者に入金をしてもらう

なお、これ以降のステップとして、以下のことがあります。
・入金確認のサンキューメールを送る
・セミナー3日前、前日のリマインドメール

これらに関しては、この記事のカバーする範囲ではありません。

無料でフォーム申込者に自動返信する!Google Apps Script(GAS)を使う

自動返信で、カンタンに無料に始めるには、Googleのシステムを使います。ここで紹介するのは、Google apps scriptです。

もちろん、フォーム申込者への自動返信システムは、他にもあります。しかし、初心者が無料でカンタンに始めるなら、このGoogle apps scriptを使うことをオススメします。

なぜなら以下のようなメリットがあるからです。

メリット1|無料で誰でもすぐに始めることができる

Googleアカウントさえあれば、誰でもすぐに始めることができます。他のシステムは、有料だったり、始めるまでに時間がかかったりします。

しかし、Googleのシステムであれば、今すぐ始めることができます。

メリット2|Googleのシステムと連動できる

Googleには、Gmail、Gドライブ、Google Docsといった機能があります。それらを組み合わせて、さまざまな機能を持たせることができます。

たとえば、Googleのシステムを使えば、メルマガ配信スタンドを作成できます。複数の機能を組み合わせれば、手動の仕事を自動化できます。

メリット3|ネットに情報が転がっている

Google apps scriptについては、ネットで検索すれば、たくさんの情報が公開されています。

したがって、これらを組み合わせれば、無料で使えるシステムを構築することが可能です。

無料でフォーム申込者に自動返信する!Google Apps Script(GAS)を使う

それでは、フォーム申込を自動で行う方法をステップごとに紹介していきます。

ステップ1|Googleアカウントを作成

Googleアカウントを持っていない場合、アカウント作成から始めます。

Googleアカウントは、こちらのGoogleの公式サイトを利用ください。

http://support.google.com/accounts/answer/27441?hl=ja

ステップ2|使用するGoogleアカウントでログインする

自動返信をしたいGoogleアカウントでログインします。こちらから使用中のGoogleアカウントで問題ないかどうかを確認します。もし、他のアカウントがいい場合は変更します。

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[1] をクリックすると、現在ログイン中のアカウントが表示されます。
[2] が、現在ログイン中のアカウントですので、このアカウントで自動返信しても問題ないことを確認します。

ステップ3|Google spread sheet(スプレッドシート)の作成

Google Spread Sheet(Googleスプレッドシート)を開きます。こちらをクリックして、下の画像の通りに、順番にクリックしていきます。

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[1] Googleの機能一覧を開く
[2] スプレッドシートをクリック
[3] 空白をクリック

もし、[2]の部分にスプレッドシートが見当たらない場合は、「もっと見る」をクリックしてみてください。下のほうに見つかるはずです。

つぎに、申込者に通知される自動返信用のメール本文を作成します。作成したスプレッドシートのB列の2行目~6行目に文言を入れ込みます。具体的には、以下のような記載を使います。

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[1] セルB2|自動返信で使うメールの件名
[2] セルB3|メールの導入文
[3] セルB4|クレジットカードでの支払い方法
[4] セルB5|銀行振込での支払い方法
[5] セルB6|メールの署名

なお、[3]と[4]の支払い方法がない場合は、「支払いはできません」と記入しておきます。

この記載は、いつでも修正可能ですので、メールの文章を変更したいときは、自由に修正してください。ただし、セルB2~B6がメール本文に反映されるようにしていますので、他のセルに情報を記載しても反映されません

また、他の情報を入れ込みたい場合は、セルB3から、セルB6に入れ込むようにしてください

ステップ4|Google formを作成する

自動返信を作る前に、申込フォームを作成します。

ステップ3でスプレッドを開いた状態で、
[1] ツールをクリック
[2] フォームを作成

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フォームが作成されますので、さらに以下のように進めていきます。

[3] フォームをクリック
[4] フォームを編集

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フォームの中身を編集していきます。

[5] セミナー申込に必要な項目を入れ込んでいきます。

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以下の7項目があれば、問題ないでしょう。
1.タイトル
2.フォームの注意事項
3.メールアドレス
4.お名前
5.開催場所と日時
6.参加費
7.支払い方法
-クレジットカード
-銀行振り込み

追加したい場合は、自由に追加してかまいませんが、この項目の順番とメール返信のプログラムが連動しているので、項目追加する場合は、順番に注意してください

注意1|3.メールアドレスは、有効なメールアドレスが入力されるように設定を行いましょう。

この設定をしておくと、申込者が記入を間違えた場合、記入を修正するように申込者にエラー通知が出ます。

たとえば、@が記載されていないメールアドレスを記載されてしまった場合、修正を出してくれます。

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そのため、有効なメールアドレスが記載されるようにフォーム設定を行いましょう。

注意2|必ず回答してもらう項目は、必須とする

必須にすることで、申込者に必ず回答してもらえるようになりますので、必要な項目は、必須をオンにしておきます。

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すべて入力したら、スプレッドシートに戻ります。そうすると、以下の赤枠のように「フォームの回答1」が作成されていますので、クリックします。

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「フォームの回答1」には、以下の赤枠で囲まれた部分が、記載されています。これは、フォームで作成した3.メールアドレス~7.支払い方法と項目が一致しています。

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なお、B列に無題の質問がありますが、このままで問題ありません。

ステップ4|Google apps scriptを開く

Google apps scriptを開きます。スプレッドシートを開いた状態で、以下のようにクリックしていきます。

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[1] ツールをクリック
[2] スクリプトエディタをクリック

そうすると、以下の画面が出力されます。

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ステップ5|Google apps scriptのスクリプトをコピペする

Google apps scriptのコードウィンドウ(以下の画面の赤枠)にスクリプトを記入していきます。

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以下のプログラムを上の画像の赤枠の部分にコピペします。

function autoreply() {
 //Googleフォームへの回答にGmailから自動返信

 var SS=SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet(); //シートを取得
 var Sheet1=SS.getSheets()[0]; //シートを取得
 var Sheet2=SS.getSheets()[1]; //シートを取得
 //var Sheet3=SS.getSheets()[2]; //シートを取得
  
 var row = Sheet1.getLastRow();
 var column = Sheet1.getLastColumn();
 var range1 = Sheet1.getDataRange();
 var range2 = Sheet2.getDataRange();
  
 //フォームの入力項目をセット
 var timestamp = range1.getCell(row, 1).getValue(); //A列|タイムスタンプ
 var address = range1.getCell(row, 3).getValue();  //C列|メールアドレス
 var namae = range1.getCell(row, 4).getValue(); //D列|お名前
 var place_time = range1.getCell(row, 5).getValue(); //E列|開催日時と場所
 var fee = range1.getCell(row, 6).getValue(); //F列|参加費
 var payment = range1.getCell(row, 7).getValue(); //G列|支払い方法
 
 //メールの本文をセット 
 var title = range2.getCell(2, 2).getValue(); //「シート1」のセル(2,2)の値を取得
 var mailbody = range2.getCell(3, 2).getValue(); //「シート1」のセル(3,2)の値を取得
 var creditcard = range2.getCell(4, 2).getValue(); //「シート1」のセル(4,2)の値を取得
 var bankpayment = range2.getCell(5, 2).getValue(); //「シート1」のセル(5,2)の値を取得
 var credit = range2.getCell(6, 2).getValue(); //「シート1」のセル(6,2)の値を取得
  
 //自動返信メール本文をセット
 var body = namae + "様\n\n"; // 「\n」は改行を意味します。
 body += mailbody; // 「+」は一行前から続いていることをを意味します。
 body += "問い合わせ日時:"+ timestamp+"\n";
 body += "お名前:"+ namae+"\n";
 body += "開催日時と場所:"+ place_time +"\n";
 body += "参加費:"+ fee +"\n";
 body += "支払い方法:"+ payment +"\n";
 body += "クレジットカード支払いはこちら:"+ creditcard + "\n\n";
 body += "銀行振込方法はこちら:"+ bankpayment + "\n\n";
 body += credit;
 
 //ログインしているGmailから自動返信する
 GmailApp.sendEmail(address,title,body); //宛名=address、件名=title、本文=bodyで、メールを送る
}

コピペしたら、以下のようになります。

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次に、このスクリプトを保存します。

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以下のような画面が出てくるので、
[1] スクリプトの名前(何でもOK)を記入(ここでは、「Googleフォームから自動返信」としています)
[2] OKをクリック
と進めていきます。

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ステップ6| 作動するかチェックする

自動返信の動作チェックを行います。まずは、フォームに動作チェック用の情報を入力します。

以下の手順で、実際のフォームを開きます。

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動作チェック用のメールアドレスなどを入れ込み、フォームに回答します。

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動作チェック用の情報がスプレッドシートに反映されたことを確認します。

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つぎに、Google Apps scriptを移動します。そして、虫のカタチをしたボタンをクリックします。なお、このボタンを押すと、メールが送られますので、動作チェック用に入力したメールアドレスに問題ないことを確認しておきます。

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虫のボタンを押すと、「承認が必要が必要です」という画面が出てきます。「許可を確認」をクリックします。

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アカウントを選択という画面が出てきます。現在ログインしているアカウントが上位に出てきますので、それをクリックします。

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「このアプリは確認されていません。」と出てきますので、「詳細」をクリックします。

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さらに、下の方に「無題のプロジェクト(安全ではないページ)に移動」と出てきますので、それをクリックします。

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「無題のプロジェクトにアクセスを許可しますか?」と出ますので、許可をクリックします。

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そうすると、動作チェック用でフォームに入力したメールアドレスに、返信が来ています。

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ステップ7|フォーム入力と同時に自動返信するようにトリガー設定する

続いて、申込者がフォームに回答した瞬間に、自動返信されるように設定します。

Google Apps scriptに移動して、以下の画像のように、時計マークのボタンをクリックします。

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時計ボタンをクリックすると、以下のような画面が出現します。「トリガーが設定されていません。今すぐ追加するにはここをクリックしてください。」をクリックします。

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現在のプロジェクトトリガーが出現します。以下のように設定します。
[1] autoreply
[2] スプレッドシートから
[3] フォーム送信時
[4] 保存
をそれぞれ選択し、クリックします。

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[1]は、ステップ5で作成したプログラムを選択します。以下の画像で示されているプログラム名称と同じモノを選択すれば問題ありません。

ステップ8|フォームURLをメールやブログで通知する

GoogleフォームのURLを見込み客に配信します。URLは、以下の手順で取得します。まずは、実際のフォームを開きます。

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つぎに、実際のフォームを開いたときに表示されるURL(以下の赤枠)をコピーします。

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これをブログ、メール、SNSなどに貼り付けます。申し込みがあると、Gmailから自動返信してくれるため、返信の抜けや漏れなしで管理できるようになります。

また、このスプレッドシートは、そのまま出欠表になりますので、セミナー当日は、このスプレッドシートを印刷したり、開いておいたりしておくと便利です。

このプログラムを使う時の注意点

この自動返信システムを使えば、自動で返信してくれます。これまで私が使ってきた中で、とくに問題は生じてしません。

ただし、フォームの項目を追加する場合は、注意が必要です。たとえば、電話番号を入れ込みたい場合、フォームの項目の一番下に入れ込んでおきましょう。

なぜなら、一番下に入れ込めば、プログラムにエラーが起こることがないからです。ただし、相手に送られるリマインドメールには記載されません。

なお、プログラムを編集したい場合は、いろいろとサイトで調べてみることをオススメします。

もっとラクをしたいなら

Google Apps scriptを使えば、いろいろなシステムを構築できます。

たとえば、以下のような事です。
・フォームから申し込みがあったときに、Chatworkに自動通知させる
・Gmailの受信メールを解析してスプレッドシートに一覧にする
・定期的にリマインドを指定したメールアドレスやChatworkに通知する

ぜひGoogle Apps scriptを学んでみてください。